レディーファーストに戸惑う私
元サッカー選手のデビッド・ベッカムさんの通訳を何度かさせて頂いたことがある。ベッカム様♡(思い出すだけで目がハート・・・笑)。見た目が格好良いだけでなく、振る舞いが素敵で本当にジェントルマンな方だった。
私のような下々のもの(笑)に対しても、分け隔てなくレディ・ファーストが当たり前。移動中も「after you(お先にどうぞ)」とドアを開けて先に通してくださる。レディ・ファーストに慣れていない私は戸惑うばかり💦
ベッカム様にレディー扱いされてモジモジしている私を、同行していたアメリカ人が「Keiko! You are going out with a wrong guy!(ケイコは付き合う男を間違えているんじゃないか)」と言って笑っていた。「普段ケイコが付き合っている男性は、レディとして扱ってくれていないのではないか(もっと良い男と付き合えよ!)」という冗談でからかわれた訳です・・・。まあ、そうは言っても私は日本人ですからねぇ・・・。しかもお相手はベッカム様だし。そりゃドアを開けて頂いたりしたらモジモジしてしまうのも仕方ないでしょう。
「お先にどうぞ」は「あなたの後に」
ベッカム様(ベッカム「様」になっている!!・・・笑)がよく使っていた、「お先にどうぞ」は英語で”after you”。「お先に」だけれど、単語は”after”を使う。”after you”は直訳すると「あなたの後に」となる。
「お先にどうぞ」という表現には、他に”go ahead”もあるが、こちらは「お先にどうぞ」の「お先」が”ahead”という単語として入っているので覚えやすいかもしれない。ただ、”go ahead”はかなりカジュアルな印象になるので、目上の人に使う場合や丁寧に言いたいときには”please”をつけて語調を柔らかくするなどすると良いと思う。
“go ahead”は「お先にどうぞ」と道を譲ったりドアを開けたりする場合だけでなく、いわゆる「ゴーサインを出す」ような状況でも使える。もともとは「前に進む」という意味なので、「お先にどうぞ」という他にも、「前進して良い」というニュアンスを伴う。例えば、部下が上司に承諾を求めたときに、”go ahead”と言われたら進めて良いということ。この場合は実際に行動を起こすのは部下なので、「お先にどうぞ(後から自分も行く)」ではなく、「あなたが進んで良いですよ」という意味。
レディーファーストの文化に思う
相手がベッカム様のときには、人にからかわれる程にモジモジ度が最高値まで上がってしまっていた私だが、実はレディファーストしてもらったときに、どう振る舞うべきか戸惑うことは他にもある。例えば、仕事の時に目上の方からドアを開けて頂いたりしたら、どう振る舞うのが「正解」なんだろう、とか。レディーファーストは慣れていないと、される側も悩むんだな。
一度、観察してみたところ、欧米文化ではレディファーストはとても大切なことのようで、男性はドアを開けたり、荷物を持ったりと、レディファーストのマナーを身につけていることで教養ある紳士であると周りからも評価されるようだ。そうなると、女性の方もレディファーストの扱いを受けたら、変に遠慮しないで男性がエスコートしやすいようにニッコリ笑顔でありがたく受け入れるのが良いらしい。
ちょっと違うかもしれないけれど、インドに旅行に行った時に、駅でもホテルでも到着すると直ぐに人がやって来て荷物を持ってくれようとしたのを思い出す。最初は驚いて「自分でできるから大丈夫」と断っていたけれど、「荷物を運ぶ」という仕事を彼らに与えてあげるためにも、持たせてあげた方が良いのだと現地の人に言われて「なるほど」と思った。(もちろんチップは払う。)
「郷にいれば郷に従え」というが、その場に相応しい行動というのは国や文化によって異なるものなのだろう。厄介なのは、同じ国や文化であっても時代によって変化もするし、状況が変われば「相応しい行動」も変わること。絶対的な「正解」はないのだ。
結局は、その場その場で考えて状況に応じた振る舞いを自分で決めるしかないのかなぁ、とか。それが最終的には「自分らしさ」になるのかなぁ、とか。”after you”とスマートにドアを開けてくださるベッカム様の様子を思い出しながら考え続ける私なのでありました。
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