『DIAMOND online』にて記事連載中!!

雑談が苦手というお悩み

「雑談」はなぜ難しいのか?


英語のお悩みで意外に多いのが「雑談が苦手」というもの。

仕事の話はなんとかなるけれど、会食やミーティングの合間の「他愛もない会話」、つまり雑談となると何を話して良いやら分からない、仕事は自分の専門分野だから何とかなるけど雑談は苦手という方は多いです。

実は、通訳の仕事もテーマが決まっていない案件はちょっと大変です。我々通訳は、ご依頼を受けてから必死で準備をします。頂けるものなら事前に資料を頂いて読み込み、講演会だったら講演のテーマに関わることを勉強したり、講演者の著書を読んだり関連記事を調べたりYouTubeを見たりして、通訳させて頂く方が過去にどのような発言をされているのかを把握したりと、可能な限りの情報を集めます。準備にかける時間と労力は、本番の拘束時間の何倍、何十倍にもなるのが普通です。

これは、日本語と英語は文法の構造など、言語としての成り立ちが異なるので、同時通訳をする場合はある程度の「推測」をしながらの訳出がどうしても必要になるためです。「推測」の確度を上げるためにも事前準備は不可欠ですし、どれだけ事前に準備をしたかで当日のパフォーマンスのクオリティが大きく変わります。

逐次通訳(話者が喋ったあとに通訳が喋るスタイル)であっても、初めて聞く話を瞬時に理解して正確に訳すためには、ある程度の背景知識をもって臨むことが必要なので、やはり同様の準備をします。

しかし、これが会食など、「テーマを特定せずに話す場」での通訳となると、準備の仕様もありません。もちろん、出席者のバックグラウンドを調べたり、可能であれば事前に「どんなお話しをしたいですか?」と聞いたりすることもありますが、基本的にはどんな話題になるかは分からないので毎回ヒヤヒヤしています。

そういえば「予習しろ」って先生や親にも言われたよね・・・

思い返してみれば、子供の頃に親や先生に「予習・復習をやりなさい」と言われましたね。(ふー←ため息)。確かに、予習をしておくと大枠が頭に入っているので、全くゼロから聞くのに比べて授業の内容の理解度がかなり上がります・・・なんて偉そうに書いていますが、私は子供の頃は勉強は全くしない子だったし、挙げ句の果てに高校時代は不登校だったので大きなことは言えません(汗)。

私が初めて予習の大切さを実感したのは、アメリカで学生生活を送ったときでした。

授業に出席しても、当然のことながら全て英語なので全くもってチンプンカンプン(涙)。当時の私の英語力では、授業の内容なんて見事に分からないんです。しかし、学校の授業の素晴らしいところは、先生が「次は◯◯をやります」と言ってくれること。次回の授業について、「第何章のどこどこ」とか「教科書の何ページから」とか、大体の場合は予告をしてくれます。

なので、この「予告」を頼りに、私は毎回必死で予習をしていました。授業の前に、教科書の予告されたページを隅から隅まで読んで、知らない単語を調べまくりました。本当に知らない単語ばかりだったので、「教科書を読んでいる」というよりは「辞書で単語を調べている」といったほうが良いような作業でした。

それでも一生懸命に時間をかけて予習すると、ある程度は内容を把握できます。その状態で授業に出席すれば先生が言っていることが理解できるんです!・・・いや、正確に言えば、、、、予習して一度自分なりに理解したことを先生の話を聞きながら頭でなぞって「確認」出来るんです。

時々、何かの理由で予習する箇所を間違えたり、先生が急遽予定を変更して「やっぱり今日は◯◯をやります」などと、予告とは違うことを授業でやり始めたりすると本当にびっくりするくらい理解度が落ちるのでした。「予習」と「理解」の関係がいかに深いかを思い知る日々でした。

英語で学んだ学生時代は「予習」をすることで何とか乗り切ったと言っても過言ではありません。

いますぐ出来る雑談対策

話の内容を理解するには「予習」がいかに重要であるかを考えると、「雑談」の難しさは、「予習」で英語スキルの不足を埋めることができないというところかと思います。その場の雰囲気や会話に参加している人によって、どんな話が飛び出すか分からない「雑談」は予習による背景知識では補えない。そうかと言って、「どんな話題もドンと来い!」なんて英語力が直ぐに身につくわけもない。それは、ヒヤヒヤするし苦手意識を感じるのも当然かと思います。

「雑談も怖くないほどの英語力を身につけるために勉強を頑張るぞ!」という志をお持ちの方は全力で応援します。一方で、「そんな気長に待ってはいられない!」「雑談をする機会が迫っており、今すぐどうしたら良いのか教えて欲しい!」という方には、「目標を決めて、こころ安らかに雑談することを目指す」ということをお勧めします。

そもそも、雑談が発生する場面で自分は何を成し遂げたいのか?を考えます。
例えば・・・

1. 今後一緒に仕事をする人達と仲良くなりたい。
2. その場にいる人から特定の情報を得たい。
3. とにかく疎外感を味わいたくない、自分も少しは発言してその場にいたことを覚えておいてもらいたい

 ・・・などなど、いろいろとあると思います。そして、自分が「成し遂げたい目標」を決めたら、それだけを達成することに集中して作戦を練りましょう!

例えば・・・

今後一緒に仕事をする人達と仲良くなりたいけれど(涙!)英語では見事な話術で魅力を振りまくことができない・・・のであれば、とりあえず好印象を持ってもらうために、一生懸命に(そして、にこやかに😃)相手の話を聞く。そして後から「◯◯の時にお会いしたX Xです。英語が得意ではないのであまり上手にお話しできなかったけれど、お話を伺えて嬉しかったです。またお会いできるのを楽しみにしています」とメッセージを送ってフォローする、とか。

その場にいる人から特定の情報を得たいけれど(涙!)周りに人がいると苦手な英語でじっくり聴き出すのは難しい・・・のであれば、名刺を頂いておいて「お聞きしたいことがあるので、後からご連絡させて頂いても良いですか?」と「頭出し」しておき、後日ゆっくり話せる場を設定させてもらう、とか。

「とにかく疎外感を味わいたくない、自分も少しは発言してその場にいたことを覚えておいてもらいたい」けれど(涙!)英語だと話についていけず何も言えないままに終わってしまう・・・のであれば、事前に好まれそうな話題を考えておいて(これは予習ですね!)、まずは自分が喋って理解できる話題に会話が進むように仕向ける、とか。

ここに挙げたのは「例えば」という話ですが、そんな風に「何を成し遂げたいのか?」を考えて対策を練っておくのです。

日本語でも「緊張する場面で上手く喋れなかった」という経験は誰でもあると思います。言語ってメンタルと非常に関係が深いものです。そもそも母国語でない言語で何かをするということは、それだけでものすごくストレスがかかるもの。上手く出来なくて当たり前なんです。(私なんて、今でも怖い先輩とペアを組んで同時通訳するときは緊張して噛みまくったりしています・・・苦笑)。

そんなことは百も承知でも、知らず知らずのうちに英語だと日本語と同じような感覚で「雑談」や「社交」ができないことに自信を失い、さらにストレスを大きくしてしまうのはもったいないと思うのです。ましてや、それが原因で英語嫌いになったりしたら私は悲しい〜(号泣)。

苦手意識は気持ちを萎縮させます。萎縮すると余計に話せなくなります。雑談も「苦手!」と思ってしまうと萎縮するばかりなので、「英語に苦手意識がある」とか、「雑談は苦手」という方は、少しでも平常心で、こころ安らかにその場を過ごせる工夫をする方法を考えることも大切なのではないかと私は思います。

そのためにも、「雑談の場で自分は何を達成したいのか」について、現実的な目標を明確に設定し、それ以外は「いつかできたらいいな」という気持ちは持ちつつ、出来なくても「今回はよし」とする一種の図々しさというか、開き直りみたいな気持ちを持つことも言語習得のプロセスには大切だと思います。

念のためにお伝えしておくと、この方法で英語テストのスコアが上がるわけでは全くありません!(苦笑)。でも、母国語ではない言語を使いこなせるようになるためには、「今の自分のスキルで出来ること」に対して現実的な目標設定をした上で、それ以外は一旦脇に置いておくという心構え(=要するに開き直り💦)は不可欠だと思うのです。

「苦手な英語環境で、こころ安らかに乗り切るにはどうしたら良いのか??」
英語習得の道のりの中では、時にはそんな視点も持ってみてくださいね。

それでは、ごきげんよう♪