『DIAMOND online』にて記事連載中!!

通訳ノウハウの応用〜カンペのすすめ 前編

全ては省エネのために?

通訳者が日々やっていることで、通訳でなくても英語を使う場面で使えるのでは?・・・と思うノウハウが色々あります。その代表がカンペ=カンニングペーパー作りです。(注:通訳者は「カンペ」ではなく「単語帳」「資料」などと呼んでいます。)

英語で話すときにナーバスになってしまうという方には、このカンペつくりに一度チャレンジしてみて欲しいんです!

通訳者というのは、仕事の依頼が来ると一生懸命に準備をします。頂いた資料を読み込んだり、関連するトピックを自分で調べたり、最近ではYouTubeをみたり・・・手に入る限りの情報を使って本番に備えます。


なぜ通訳がこんなに一生懸命準備をするかと言うと、全ては省エネのためなんです。

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あっ!もちろん最終的な目的は、「言語の壁を超えて理解を深めるお手伝いをするために、良い通訳をすること!」です💦

でも、テクニカルなことでお話しすると、現場でなるべく「省エネ」するために事前の準備をしているんです。同時通訳は集中力も必要ですし、エネルギーも使います。なので、準備をすることで本番で省けるエネルギーは少しでも省き、使うべきところにエネルギーを集中できるようにしています。

思考はエネルギーを使う

「考える」というのは物凄くエネルギーを使います。
通訳中は集中力を全開にして、耳から入ってくる言葉を「聞き」「理解して」「 適切な訳語を考え」「訳す(喋る)」ということをしています。こうして書くとシンプルですが、かなりのエネルギーを使う作業です。


この一連の作業を可能な限りスムーズに行うために、「適切な訳語を考える」という部分の負担を減らすべく、事前に「カンペ」(通訳が単語帳と呼んでいるものです)を作っておくわけです。


 通訳をしていると、難しくて(!)長くて(!)言いにくい(!)、しかも絶対に間違えてはいけない(!)言葉が沢山出てきます。もちろん「間違えて良い言葉」なんてありませんが、例えば固有名詞や人の名前は絶対に間違えてはいけないんですよね。(普段の会話でも、名前を間違えるのは大変失礼ですよね💦)

事前に準備することで「単語帳(カンペ)」を作っておくと本番では目で確認しながら訳すことができて、かなり「省エネ」が可能になります。


通訳は日々いろんな業界や企業のお仕事をするので、聴き慣れない言葉が次々に出てきます。それを同時通訳している最中に、いちいち「これ英語でなんと言えばいいのかなー??」などと考えてから訳していると到底間に合わない・・・。なので、事前に勉強して作っておく単語帳(カンペ)がライフラインになるんです。

ただし、どんなに一生懸命に準備をしても完璧ではありません。事前に準備できなかった(想定外の話が出てきた)場合は、その場で耳から聞いた音だけを頼りに、「理解して、考えて、訳す」ことになります。

初めて聞く情報というのは、事前に調べて理解していたことに比べて、訳すのに負荷がかかります。(つまりエネルギーをたくさん使うんです。)そのレベルで何時間も集中し続けることは負担が大き過ぎるので、必要な箇所にエネルギーを効率的に投入するためにも、「省エネモード」に出来る部分を、なるべく多くしておくことが大切なんです。そのために一生懸命に事前の準備をするんですよね。


そんな訳で、通訳は仕事の依頼を受けると「資料ください」とか「会議のテーマを教えてください」とか、やたらとしつこいです(苦笑)。本番で最大限のパフォーマンスをするために私たちも必死なんですよね・・・。(なので面倒でもご協力頂けると大変ありがたいです・・・笑)

通訳にとって大切な準備の一環である「単語帳(カンペ)」作りは、英語が苦手な方が英語コミュニケーションにチャレンジするときにも使える(かもしれない?)と思います。次回に続きます。。。

それでは、ごきげんよう♪

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通訳ノウハウの応用〜カンペのすすめ 前編