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「よろしくお願いします」は英語でなんと言う?

英語にできない日本語

以前、英語の単語で日本語に訳しにくいものということで“ownership”とう言葉について書きました。今回は、逆に日本語の表現で英語に訳しにくい(あるいは訳せない?)ものについて考えてみたいと思います。

英語にできない日本語の代表格(?)といえば、「よろしくお願い致します」ですね。通訳しているときに、「よろしくお願い致します」という日本語が出てきたら、「Thank you for your time(お時間ありがとうございました)」」とか、「Look forward to seeing you next time(またお会いできるのを楽しみにしています)」とか、その場の状況や話している人の関係性、雰囲気などで英語にします。

「よろしくお願い致します」というのは、そこまで重要な意味や情報が込められた言葉ではないので、原文に忠実であることよりは、話の流れを止めないで雰囲気を壊さないような適切な英語の「ご挨拶」にします。通訳をするときには、「意味を忠実に訳すこと」を求められているのか、「流れや自然さが重要な場面なのか」状況によって判断します。

「お待たせ致しました」は便利?

私がいつも、「この表現は英語にはないんだよな」と残念に(?)思うのが「お待たせ致しました」です。本当に待たせてしまった場合は、「Thank you for waiting(待っていてくれてありがとう)」とか「I am sorry to make you wait(お待たせしてごめんなさい)」など、「待たせた事実」に対するお礼やお詫びの言葉を言えば良いのですが、、、、。

「待たせた」わけじゃないけれど先に来ている人に対して何となく(意味もなく)「お待たせしました」と言いたくなる時があります。
例えば、何人かで一緒に行動するときに、みんなが集まって「さあ、行きましょうか」となったとき。時間に遅れたわけでもないし、誰も待っていないけれど自分が一番最後の時には「お待たせしました」と言いたくなります。

日本語では、一番最後に来た人が「お待たせしました」と言うのは不自然な感じはしませんが、英語の場合、実際に待っていた訳じゃないので「thank you for waiting」は少し変な感じです💦「待っていた事実」がない時に「待っていてくれてありがとう」と言っても相手は「え?待っていないよ」と言うような気持ちになるようです。(実際にそう言われてしまったこともあります)。


でも、日本人としては、みんなが集まっていて自分が最後に現れた時は何か言わないとちょっと失礼な気もするんですよねぇ。そんなときの「お待たせしました」は言ってみれば挨拶みたいな使い方ですよね。特に意味はないけれど便利な表現だと思います。(そして、同じ感覚で使える英語表現が思いつかないのも残念)

これは困る!・・・という日本語

「英語にはない日本語の表現」とは少し違うけれど、通訳していて困ることがあります。商談などで通訳していると、ときどき日本人の方で突然、相手の「顔」を褒め出す人がいるんです。外国人に向かって「あなたはいいお顔してますねぇ〜」とか何とか・・・。

この場合の「いいお顔」というのは、恐らく「人相」とか「その人の内側から滲み出るもの」のことを言っていると思います。まあ、要するに「あなたは信用できる方だとお顔を拝見していて分かりますよ」的なことを言いたいのだと思うのですが、、、、これが、結構困るんです。


何の脈絡もなく、いきなり「you have a good face」とか言うのは変ですし(そして、相手の顔を褒める人というのは殆どの場合、何の脈絡もなく突然「顔」について語り始めます)、下手したら失礼にもなりかねません。

まあ、要するに相手のことを褒めたいわけですから、何となく場の雰囲気が妙な感じにならないように「I can tell you are a good person(良い方だと分かります)」みたいな当たり障りのないようなことを言ってやり過ごそうとしたりもするのですが・・・。

「いいお顔していますねぇ〜」などと、いきなり相手の顔を褒める人って結構しつこいんですよねぇ(苦笑)。相手の顔を手で指し示したりしながら「お顔がいい」と何度も何度も繰り返し言うので、もう誤魔化しようもありません💦

これは通訳していて、本当に困りますねぇ。まあ、会話の中で突然「良いお顔してますねぇ〜」って繰り返し言われ続けたら日本語で普通に話していても反応に困るでしょうけどねぇ。。。


と、ここまで書いていて思ったのですが、「英語に訳しにくい日本語」というのは「重要な意味が込められていない表現」なのかもしれません。

「よろしくお願い致します」が英語に訳しにくいというのも、定型化している挨拶にはさしたる意味や情報がないため、原文の言葉に忠実であるよりも雰囲気を壊さないよう英語の挨拶として当たり障りない表現に「訳す」という判断になるのでしょう。

言葉でなく、意味を訳す


通訳学校に通っていた頃に”what he says”ではなく、”what he means”を訳しなさいと言われたのを思い出します。
これは、「what he says(発せられた言葉)」を機械的に訳すのではなく、「what he means(その人が言わんとしていること)」を汲み取って訳しなさい、という先生の教えです。私は今でも、この教えを思い出しながら通訳の仕事をしています。

「What he means (言わんとしていること)」を訳そうとすればするほど、定型化された挨拶のように習慣的に特に意味もなく発せられた言葉というのは訳しにくい(英語にはできない)ということも肯けます。

もちろん、「よろしくお願いします」に意味がある場合もありますよね。例えば、子供を誰かに預ける時に心配で仕方ない親が「どうか、どうか、よろしくお願いします」というように、本当に一生懸命に「お願い」したい時には、「please please take good care of him」など、そこに込められた「意味」を訳すことになります。

それにしても、「良いお顔していますねぇ〜」は難しいですね(苦笑)。せめて、しつこく良い続けるのはやめてほしいですよねぇ。個人的な好みで言っても、相手におべっか使うような空虚な会話は好きじゃないのでビジネスの席で「良いお顔してますねぇ」とよく分からない褒め言葉(にもなっていない?)を繰り返されると、通訳も人間ですから、正直ちょっとイラッとします(あ、毒を吐いてしまった💦)

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