『DIAMOND online』にて記事連載中!!

「How are you?」の謎

「How are you?」に対する戸惑い

Aさん:How are you?
Bさん:Fine thank you, and you?
Aさん:Fine thank you


英語の挨拶の仕方として、学校でこんな風に習った方も多いのではないでしょうか。
英語環境で生活していると、「How are you?」という表現は毎日と言って良いほどよく聞きます。ただ、上記の通りの会話が再現されることは殆どありません。(少なくとも私は一度も聞いたことがありません・・・苦笑)。

アメリカで暮らし始めた頃に戸惑った英語表現の一つが、この「How are you?」でした。当時アメリカに住んでいた英語ネイティブでない友人も同じような戸惑いを感じていたらしく、「How are you?」という挨拶の不思議について二人で真剣に(笑)話し合ったことを覚えているので、「How are you?」に対する戸惑いは日本人のみならず、英語を外国語として学ぶ人にはある程度共通しているのでないかと思います。

なぜ、戸惑うのかといえば、「How are you?」という表現は、クエスチョンマークがついている疑問形であるにも関わらず、質問への答えは全く期待されていない感じがするからです。「How are you?」という挨拶の不思議について話し合った英語ネイティブでない友人も全く同じ違和感を持っていました。

英語の授業では、「How are you?」と聞かれたら、「Fine thank you.」と答えた上で「and you?」と相手にも聞き返す。すると相手がまた「Fine thank you」と答える、と習ったものの、実際の英語の会話では「How are you?」から始まる挨拶は「質問と答えのやりとり」という感じにはなりません。

アメリカ人が「How are you?」と聞くので、こちらの様子を聞かれているのだと思い、「宿題が多くて困っている」とか、「昨日飲み過ぎて今日は体調がイマイチ」とか話し始めると、変な顔をされたことが何度もあります。更には「How are you?」と自分で聞いておいて、こちらが答える前に立ち去ってしまう(!!!)なんて人もいます。 「How are you?」って、いったい相手に何を期待して発している言葉なの?・・・と、英語ネイティブでない我々は激しく戸惑っていたのでした。

英語での生活に慣れてみると、「How are you?」と聞かれたら、「I am fine」とか 「I am well, thank you」など、一応の答えとなる返事はするけれど、よっぽどのことがない限り「実は、こんな問題があって・・・」などと、実際の状況を説明し始めるようなことはしないことが分かってきました。

「How are you?」という表現は、質問の形をとってはいるものの、実際には質問ではなく、「I am fine」など「問題ない状態」であることを返答してくると想定して発せられる挨拶なのです。

 “I am fine”ではないと分かっている相手には?


さて、そうなると・・・それでは相手が「良い状態でない」場合、つまり”I am fine”とは言えない状態であることが分かっている場合には、「何と挨拶するのが正しいのであろう???」という疑問が出てきます。


例えば、体調不良で休んでいた人とか、前回会った時にメチャクチャ落ち込んでいた相手には、何と挨拶すべきなのか? 「fine=大丈夫」じゃないことが分かってるのに、“How are you?”というのは失礼になってしまうのでしょうか???

「How are you?」に対する戸惑いが少し解消すると今度はそんな疑問が湧いてきました。その頃、幸か不幸か風邪が流行っていて学校を欠席する人が多い時期だったので、久しぶりに出席してきた人に英語ネイティブであるアメリカ人はどんな挨拶をしているか、ツブサに観察してみました。

すると!!

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”How are you?”とは言っていないぃ〜!!!

“How are you?” ではなく、”How are you feeling?”と、“How are you”に”feeling”という言葉をつけて挨拶しているのです!!

「感じる」という意味の”feeling”を”How are you?”につけることで、直訳すれば「自分の状態をどう感じているか?」、つまり「具合はどう?」という心配や気遣いを示しながら挨拶してます。


そして、”How are you?”とは違って、“How are you feeling?”の場合は、本当に質問しているニュアンスになります。なので、聞かれた側も「熱で寝込んだけど、もう大丈夫」とか、「まだ落ち込んでるけど少しずつ回復してるよ。」とか、「質問」に対しての自分の状態を答えて、”Thank you for asking”(気にかけてくれてありがとう)といった言葉が続くような会話のやり取りとなるのです。

“How are you?”というのは、学校の授業でも習ったよく知っている表現だと思っていましたが、実際に英語環境で使い始めると実は奥が深くて戸惑ったというお話しでした。

英語を学びたいという方に私はいつも「英語はとにかく使って覚えてください」と言ってしまうけれど、やはり実際に使うと戸惑いも含めて発見があるなぁと自分の経験を振り返っても感じます。なかなか英語を使う機会がないという方も、英語でドラマを見てセリフの表現を観察するとか、いろいろ工夫しながらチャレンジしてみてくださいね。

それでは、ごきげんよう♪

Voicyでも語っています!