『DIAMOND online』にて記事連載中!!

英語の会話で気をつけることは?~相手の呼び方

気づかずに失礼な言い方をしてしまったらと思うと、英語で話す勇気が持てない

・・・長いサブタイトルになってしまいました(笑)

英語について、よくある相談です。とても繊細な気遣いができる感性を持っている人だと感心する反面、やっぱり「もったいない!」と思ってしまいます。

こんなとき、「そんなに気にしなくて大丈夫よ〜!」と言っても相手の不安は何も解決しないことが多いです。「何も気にしなくて大丈夫」と言っても不安は解消しないけれど、「一つだけ注意すべきこと」を伝えると案外落ち着いたりするのは人の心理の不思議なところなので、私はこんな相談を受けると「気にしなくて大丈夫だけど、一つだけ注意しておくこと」を伝えるようにしています。

「一つだけ注意すべきこと」は、その人の置かれた立場や状況などによっても変わりますが、具体的な悩みがあるわけではなく、ただ「漠然とナーバスになっている人への気をつけるポイント」としてお伝えすることが一番多いのは「相手の呼び方」です。

英語環境では上司や先生でもカジュアルにファーストネームで呼ぶことも多いのですが、初対面やそれほど近しい間柄でもないのに、いきなり目上の人をファーストネームで呼ぶのは、さすがに気が引けます。そんなときには、「How should I call you?」(なんとお呼びすればよろしいですか?)と一言聞いてみることをお勧めします。


あるいは、とりあえずMr. やMrs./Ms.にラストネームをつけて呼んでみて、相手が「Call me by first name」(ファーストネームで呼んで)などと言ってくれたらファーストネームで呼ぶようにすると丁寧な印象です。こんなやり取りがアイスブレイク(打ち解けるきっかけ)になり、その後の会話が楽になることもあるので、迷うときには思い切って聞いてみると良いです。


実は、呼び方は結構気を使う

漠然とナーバスになっている人に相手の「呼び方」を確認することをお勧めするのは、それが会話のきっかけになるという他に、実は通訳の仕事をしていて、とても気を使うのが「呼び方」だということもあります。例えば、博士号を持っている人をMr. やMrs. Ms. で呼んでしまうのは、とても失礼にあたるので、必ずクライアントやスピーカーの方の経歴を調べ、どのように呼ぶのが相応しいかは事前にチェックします。

この点、日本語は楽なこともありますよね。「〜さん」という呼び方は、かなり汎用性が高いですし、更には、大学教授でもお医者さんでも政治家の方でも、「エライ人」は、とりあえず「先生」と呼べば何となく格好がつくというか、失礼は免れる感じがあります。(笑)

困ったら本人に聞いてみるのも

ある時そんな話をしていたら、外資系企業で働く友人から、「え!実は最近、アメリカ人の部下が博士号を持っていることが判明した。ずっとファーストネームで呼んでいたけど、ドクターって呼ばなくちゃ失礼だったのかな?どうしよう?」と相談されたことがあります。

こういう場合、「正解」はないのだと思いますが、私のお勧めは「本人に聞いてみること」です。部下が博士号を持っていることを知ったからといって、今までファーストネームで呼んでいたのに、いきなり「Dr.」で呼びかけたら相手も気持ち悪いでしょうし(笑)、そんなときは「本人がどう呼んでほしいか」を確認するのが一番です。

「博士号を持ってるの知らなかった。今までずっとファーストネームで呼んでいたけど、気づかず失礼なことをしていたらごめんなさい。なんて呼んだら良い?」って言われて悪い気がする人はいないと思います。

むしろ、そういう会話をすることで、呼び方も含めて、お互いに心地良いと思える関係性を築きたいという気持ちが伝わるのではないのでしょうか。


冒頭に、「気づかずに失礼な言い方をしてしまったらと思うと、英語で話す勇気が持てない・・・」というお悩みを私が「もったいない」と書いた理由はまさにそこで、正しくなくても相手に伝わる方法は沢山あると思います。

伝えよう、分かり合おうと頑張っている姿勢を感じてもらえたら、相手もこちらの気持ちを汲み取ろうと思ってくれるのではないでしょうか。