通訳ノウハウの応用〜カンペのすすめ 後編

カンペをつくろう!

前回は、通訳がなぜ一生懸命に準備をしてから本番に臨むのかということについて書きました。ここからが本題です!(笑)

通訳をするわけではないという方でも、苦手意識を持ちながら英語を使う環境にいる方や、日本語なら発言できるのに英語だとなかなか言葉が出てこなくて悔しい思いをしている方には、事前に「カンペ=カンニングペーパー」を作ることをお勧めします。

例えばミーティングだったら、議題やテーマから出てきそうな言葉を想像して事前に書き出しておくんです。試験の時にヤマをかけるのと同じ要領です!

実際のミーティングの場面では、事前にカンペに書き出した単語をチラチラ見て(“カンペ感“ありますね〜 笑)、発言するときには目で確認しながら英語で発言してみることをお勧めします。今はオンラインでのミーティングも多いので、本番でカンペを使うのがリアルな会議よりもハードルが低いかもしれません(?!)

ほんの少しの準備でも差が出る

事前にカンペを作るなんて面倒だと思うかもしれませんが、短時間にチャチャッとやるだけでも、本番での負担度が全然違うと思います。

私の通訳キャリア最初の仕事は、CNNニュースの同時通訳でした。(あ、CNNの仕事を始めるまでの経緯は私の著書に書いてありますので、よかったら読んでみてください←思いっきり本の宣伝です・・・笑)

ニュースの生放送というのは基本的には「何が出るか分からない=出たとこ勝負」ですが、事前に一応「放送予定のニュース項目」というのを貰えます。それを手掛かりに、単語帳(カンペ)作りを含むできる限りの準備をして本番に臨みます。

でも、何といっても生放送なので予定が変更になったり、突然「速報ニュース」が入ってくる場合があるんです。「速報ニュース」というのは、「速報」でお伝えするくらい重要度が高い、つまりは正確さを求められます。しかも、突然なので内容が分からない、事前準備もしていない・・・今でも思い出すだけでゾワゾワとした緊張感が蘇ってきます💦

ただ、「突然」とは言っても、速報が入るときは事前にディレクターさんから情報が入ることもあるんですよね。「◯◯で飛行機の墜落事故が起きました。CM明けに速報入ります」みたいな。だから「事前」と言っても60秒くらい前ですけど。しかも、情報らしい情報は殆どない・・・苦笑。

それでも、この60秒をどう使うかが勝負なんです!短い時間でも、わずかな情報を手掛かりに、出てきそうな言葉を片っ端から書き出します。例えば、飛行機の墜落事故のニュースであれば「乗客」「犠牲者」「消息を絶つ」「機長」「通信」「客室乗務員」「飛行計画」「緊急事態」などなど・・・。

「大して難しくもないじゃん!」というレベルの言葉でも、本番で「これをなんと訳す?」と考えるエネルギーを省くために、何でも良いから手当たり次第「墜落事故」で出てきそうな言葉を可能な限り書き出します。

書き出した言葉や表現のうち、本番で幾つ使うかは分かりません。正直、使わないものの方が多いです。それでも、事前に書き出しておいたお陰で助かったという経験は実際に何度もあります。

ニュースの生放送での同時通訳というのは、かなり極端な例ですが、ここでお伝えしたいのは、たった60秒という短い時間でも事前に内容を想定して出てきそうな言葉を書き出しておくだけで「省エネ」が可能になるということです。

カンペの効果

実は、事前に「カンペ」を作ることには2つ効果があります。
一つは書き出した単語を本番で使える(かもしれない)こと。もう一つは、書き出す作業をすることで自分の頭の整理ができること、です。

自分が過去に学んだ知識(単語や表現)というのは、頭の中に入ってはいるものの、突差に出てこないことがあるんですよね。なので、出てきそうな言葉を事前に書き出す作業をする(=カンペを作る)ことで、知識の引き出しを整理して必要な言葉や表現を取り出しやすい場所においておくことが大切なんです。

こうして考えてみると、通訳の仕事って、自分の力や知識を最大限に使うための「省エネ」と「整理整頓」をやり続けているようなものですねぇ。

英語を使う場面での、事前のカンペ(単語帳)作り。
最初は効果が感じられないかもしれませんが、 繰り返すことで要領がわかってくると思います。まあ、通訳を20年以上続けていても、全てを網羅する完璧な単語帳を作って準備が出来たことなどないので、100%を目指すことはせずにチャレンジしてみてください(笑)。

そんなに時間や手間をかけなくても、ちょこちょこっと事前に準備をするだけでも全然違うと思いますよ!

それでは、また。ごきげんよう♪

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