「You’d better〜」という言い方
「You’d better〜」(You had betterの省略形)というのは「〜した方が良いですよ」という意味だと習った方は多いのではないでしょうか。
「You’d better〜」という言い方は、例えば親が子供に 「テレビを見る前に宿題やった方がいいよ(You’d better finish your homework before watching TV)」というようなときに使われたりします。
「You’d better」は「〜した方が良い」と相手を促すときに使う表現ですが、「やらないと大変なことになるよ」というニュアンスが含まれているんですよね。先述の例だと、「宿題やらないとお仕置き」なのか「宿題やらないと先生に叱られる」のか、、、理由は何であれ「宿題やらないでテレビ見ていると大変なことになるよ!困るのはあなただからね!」という意味も含んでいるんです。
かなり強い表現であるため、一般的には「you’d better〜」と言うと、上から目線な印象を与えてしまいがちです。そのため、親子のような関係性で使われることが多いですね。
「 You’d better」と部下に言われたアメリカ人のエライ人
以前に通訳した国際会議で、某企業の日本支社長として就任されて間もないアメリカ人が、「You’d better〜」という表現についてお話しされていることがありました。
秘書に日英バイリンガルの方がついたそうですが、その秘書が「You’d better attend the meeting(この会議は出た方が良い)」とか、「You’d better leave by 5 o’clock(5時には出発した方が良い)」とか、「you’d better」を頻繁に使っていたそうです。
それに対して、そのアメリカ人の日本支社長は「you’d better」って目上の人に言うなんて、この秘書は失礼な奴だ!💢上から目線で不愉快だから秘書を変えた方が良いのでは?・・・と思ったとのこと。
しかし、部下である他の社員たち(日本人)も、みーんな自分に向かって「you’d better」を使うらしいんです。
「え!日本人って礼儀正しいと思ってたのに、なんで皆んな上司の俺に向かって”you’d better〜”って言うの?!」とびっくりしたものの、もしかしたら学校でそう習ってるんじゃないのか(?!)・・・と思って聞いてみたところ、その通りだったそうです。
ネイティブ英語スピーカーの姿勢が変わってきている!?
そのエピソードに続いて、このアメリカ人の方が話してくださったことは衝撃というか感動的でした。(以下、要約です)
「自分は大切なことを学んだ。相手は母国語でない言語を学んでコミュニケーションしているのだから、学ぶ過程で間違って教わったり、ニュアンスを誤解して覚えてしまうことはあるだろう。たとえ失礼な言い方だと思っても、相手のことを『礼儀のないやつ』と決めつけないで、先ずは母国語でない言語を使ってコミュニケーションしている事が原因かもしれないと考えてみることがグローバルな場で働く者の心構えだと思う。英語を国際共通語として使う環境では、英語ネイティブである自分も相手の英語に対しての許容度(受け入れる幅)を上げることを学ぶべきだ。」
これまで、20年以上同時通訳の仕事をしてきて、「日本人は英語が苦手」とか、「英語は大事だから身につけるべし!」などということは散々聞いてきました。(だからこそ、英語を学ぶ人のお手伝いをしたいと思って英語コーチを始めました。)
でも、英語ネイティブの人が、「母国語でない人が話す英語への自分の許容度をあげることを学ぶべき」などと言っているのは初めて聞きました。
恐らく、これまでも同じように感じていた英語ネイティブの人は沢山いると思います。でも、国際会議の場で、それなりのポジションの人が、あそこまで自分の経験として実感を込めて話されるのを聞いたのは私は初めてでした(あ、因みにこの時は仕事中だったので、通訳してました)。
「時代は変わってる!!!」と思いましたねー
英語は国際共通語と言われるけれど、これまでは「英語が話せない側」が一生懸命に勉強して、英語を母国語とする人達と意思疎通できる努力をするものだったように思うんです。そして、英語を母国語とする人たちからは、「私たちの言葉を学んだらコミュニケーションできるようになるから、頑張って!」というような姿勢を感じることが多かった気がします。
それが昨今、向こうも歩み寄る姿勢が出てきたように思うんです。グローバル化の意味が、「英語を話す人に追いつくこと」から、「お互いに学び合って一緒に協力すること」が本当に必要な時代になっている気がします。
国際共通語としての英語は相変わらず重要です。グローバルで活躍するには英語を学ぶことも必要だと思います。それでも、英語に苦手意識を持ちつつも「自分が伝えたいことを伝えるための実用的な英語」を身につければ、英語ネイティブの人も「聞く姿勢」を持ち始めている、少なくともそういう人が増えている・・・と私は感じています。
「You’d better〜」を目上の人に言うとしたら?
さて、「You’d better」が上から目線だとしたら、目上の人に何かを促したいときにはどう表現すれば良いのでしょうか?
選択肢はいろいろありますが、例えば「You might want to〜」などは丁寧な印象です。You might want to attend this meeting(この会議は出られた方がよろしいかと思います)とかYou might want to leave by 5 o’clock(5時までには出られた方が良いですよ)という感じで使えます。
コロナ禍でオンラインの世界が広がり物理的な距離が関係ないと感じることが増えました。実用的な英語を身につけて、どんどんいろんなことにチャレンジしましょう!全力で応援しています!
それでは、ごきげんよう♪
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